令和 4 年 10 月4日 原 健児
原健児:
私は地元小中学校で、毎日登校の見守り活動を行い、クラブ活動支援、放課後学習支援な どに参加しています。日々、子供をはじめ、保護者、先生方、教育関係者、地元行政の方々 と接してまいりました。今回はそこに関わる2つの課題に対して、質問をいたします。
1.信州型コミュニティ・スクールに関して
原健児:
10 年前、地元小学校の PTA 会長を務めさせていただき、コミュニティ・スクールを知り ました。その年、地元にて阿部知事との懇談会が開催され、“信州型コミュニティ・スクー ル”について質問をいたしました。学校が変わっていく希望をいだく回答をしていただきま した。それから今日まで注目してまいりました。
信州型コミュニティ・スクールとは、国が進めるコミュニティ・スクールに対し、“学校 運営参画、協働活動、学校関係者評価を一体的に行う長野県独自の仕組み”と説明を受けま した。
そして、“現在、県内すべての公立小中学校で信州型コミュニティ・スクールが導入され ている”と発表されています。
昨年、支援をしている学校の勧めで、コミュニティ・スクールのコーディネーター研修会 に参加いたしました。私の感想、また現場の声は、 ・コーディネーターは各校の教頭・教務主任の先生が担当されることが多い。地域のコーデ ィネーターが育っていないことで、継続的な協力者の確保に苦慮している
さらに教育委員会が発表している取組事例においては、 ・学校と保護者・地域の方が共有する話し合いの場が必要である ・うちの学校は信州型コミュニティ・スクールとなっているが、実はよくわからない という課題が掲載されています。
公表されている“県内すべての公立小中学校で導入されている”という実態は、“3本柱を 一体的に行う”という目的に遠いように思えます。
3本柱の1つ“協働活動”つまり以前から行われている地域の皆様によるボランティアの みが出来ている、と言ったことに過ぎないのではないですか。
国の進めるコミュニティ・スクールの導入地域が県内で増えている一方で、学校運営参画という3本柱の1つが機能していない地域も多いのではないでしょうか。 この点の認識を 内堀教育長に お聞きしたい。
先日、上伊那総合技術新校再編実施計画懇話会を傍聴しました。懇話会のワークグループ で行われる議論、それが学校運営参画のひとつの形ではないでしょうか。このような方式を 信州型コミュニティ・スクールに取り入れるべきです。
これから信州型コミュニティ・スクールをどのように発展させるのか、これから“次期長 野県教育振興基本計画”が策定される中で十分な検討がなされるのか 内堀教育長に お聞 きしたい。
内堀教育長の回答:
2点のご質問を頂きました。
まず、信州型コミュニティスクールにおける学校運営参画についてのお尋ねでございます。
県内すべての公立学校で取り組まれている信州型コミュニティスクールでは、地域住民・保護者・学校が対等な立場で学校運営参画と共同活動、そして学校関係者評価を一体的に推進するため任意のしくみである学校運営委員会または法律に基づく学校運営協議会が設置されています。
これらの委員会等の中には、育てたい子どもの姿や学校と地域の教育目標について熟議による深い議論が行われているものがある一方で、形式的な話し合いにとどまり必ずしもそれらを共有できていないものもあり、学校運営参画の質的な向上が課題であると認識しております。
市町村教育委員会の中には、学校運営への地域や保護者の参画をより強めるため法的権限を持つ学校運営協議会制度を導入するところも増えてきておりますが、任意の運営委員会を置いている学校においても、例えば学校と地域の関係者が育てたい子どもの姿を共有した上で、必要な教育活動を洗い出し役割を分担して、具体的な活動を実行している事例もございます。
県教育委員会といたしましては、いずれの形態であっても子どもたちの豊かな学びのために、コミュニティスクールが果たすべき役割について関係者がより深い共通理解を諮ることが重要であると考えております。
続きまして、信州型コミュニティスクールの発展について、でございます。
県教育委員会では平成25年度から信州型コミュニティスクールの取り組みを推進してまいりましたが、多くの高校、多くの学校で地域との共同活動が活性化している一方で、先ほど申し上げました通り地域や保護者による学校運営参画については学校によって取り組みの進み、濃淡があるなどの課題が見られます。そのため、県教育委員会といたしましては、市町村教育委員会や学校等の要望に応じ、学校と地域保護者と理念の共有方法について助言するアドバイザーの派遣や、熟議を促す研修会の開催、取り組みの参考となる好事例の情報発信等、必要な支援を充実したいと考えております。
また、現在次期教育振興基本計画を策定するための有識者懇談会において、多様な人材の学校への参画促進や教学競争による地域づくりが重要なキーワードとして挙げられておりますので、これらを踏まえながら次期計画においてコミュニティスクールのさらなる発展について、どのような方向性が示せるか、さらに検討を進めて参ります所存でございます。
原健児:
挙げられている課題を解決して頂きまして、是非多感な信州型コミュニティスクールの発展を願っております。長野県県民の学校に対する共同活動が、盛んであることは常々感じております。また、導入例の少ない高等学校へのコミュニティスクールの対応も検討をお願いいたします。
2.上伊那地区における児童相談所のありかたについて
原健児:
続きまして、2つ目上伊那地区における児童相談所の在り方について、でございます。
毎日の子供の見守り活動を通して、子どもの態度・言葉から家庭や学校に問題がありそうなことが見えてくることがあります。しかし、問題を掘り出し解決に至るまで経験したことはありません。子供にも家庭にも個人が簡単に踏み込めるものではありませんから、家庭や学校の問題を真っ先に受け入れてもらえる相談場所、児童相談所はより身近にあるべきです。上伊那郡は広域行政区域が異なり、伊北地域は諏訪児童相談所に、伊南地域は飯田相談所にと別れています。このことによる行政との連携に問題はないのか伊北地域・伊南地域それぞれに異なる課題はないのか、野中子ども若者局長にお聞き致します。
野中子ども若者局長の回答:
私には、上伊那地区における児童相談所と行政との連携について、また諏訪および飯田児童相談所の各管轄区域における、異なる課題の有無についてご質問を頂きました。
児童相談所が虐待相談等に迅速かつ的確に対応するためには、市町村はもとより、学校・警察・医療機関・社会的養育関係者など地域の関係機関と緊密な連携を図り、地域全体で子どもを支えていくことが重要でございます。そのため、児童相談所におきましては、管内市町村における関係者連絡会議や、研修会を定期的に開催するとともに、要保護児童対策地域協議会などに構成員として参加し、支援を必要とする児童に関する情報共有や、支援方法に関する専門的技術的助言を行い、地域の児童相談体制の強化に努めていくところでございます。上伊那地域におきましては、これらの取り組みに加えて管轄する諏訪児童相談所、及び飯田児童相談所が中心となって、昨年4月から上伊那地域の「子育て支援体制あり方検討会」を設置しております。上伊那広域圏内の市町村をはじめとしますの多くの関係機関にご参加をいただき、子育て支援に関する地域の課題、保育所・保護者のニーズの把握、さらなる連携体制の構築に向けた取り組みについて定期的に状況をなど、両児童相談所が連携をして上伊那圏域全体への対応に努めているところでございます。
この検討会では参加する地域毎に課題というものは出ておりませんけれども、上伊那地域共通の課題といたしまして、母子の預かり支援・障がい児支援・子どもの居場所づくりなどに関する人材や社会資源、また里親のなり手が不足をしている。社会資源について、市町村の枠を超えて情報共有やサービスの利用が可能となる事が必要といった意見が挙げられているところでございます。児童相談所におきましては、こうした課題に対して地域の関係機関の皆さまとともに取り組み、顔の見える連携体制を構築し、上伊那地域の子どもたちの安心安全確保に向けて、しっかりと取り組んでいきたいと考えております。
以上で、ございます。
原健児:
子どもの環境は複雑さを増し、より早い対応が必要となっています。例えば、諏訪・飯田双方からの伊那市などへの出張所という手段で、身近に相談所を構えることはいかがでしょう。それも、暗い庁舎の中ではなく、寄りやすいショッピングセンターの一角を用い、相談しやすい環境にて運営して頂くのはどうでしょうか?検討いただきたいと願います。
今後、委員会の中で進捗を確認させて頂ければと思います。
以上で私の質問を終わらせていただきます。